キューバでタクシーがつかまらなかった問題

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「2019年12月6日から法律が変わる。」
と、キューバ人が口々に言い始めて、数日後、タクシーが街から消えた。どうやら、タクシーの法律も変わるらしく、地方からハバナに働きにきては行けないとか(多くのタクシー運転手は、ハバナ以外から出稼ぎに来てるとのこと)、走るルートを申請しなくちゃいけないとか、いろいろあるらしい。で、庶民のためのタクシー(アルメンドロン)は、来ても乗車拒否の嵐になってしまった。

アルメンドロンは、こういったアメ車が多い↓ 

※普通の黄色いタクシーは活動してます。ただし料金高い(日本並み)。これを書いてる今は、アルメンドロンも走っているとのこと。ちょっと安心。

ある日、ハバナビエハに出たら、一時間タクシーがつかまらなかった。ネプチューノの始まりの道、ホテルイングラテーラのすぐそば。
最後には、タクシーに向かって、キューバ人みたいに「コッペリア!」と行き先を叫び、「バカ~!!!」と叫んでた。
その様子を見ていた隣のコロンビアの男性二人組と、思わず顔を見合わせて、笑ってしまった。
「マジでひどいよね、このタクシーのなさは。」
「病院に行かなきゃいけないのに、タクシーがつかまらないんだよ。どうすりゃいいのさ。」
と、彼ら。
ま、そんな世間話もしながら、来たタクシーにまた叫ぶ。そのうちコロンビア人はあきらめて、ポジションを替えたけれど30分後、また戻ってきた。私がいたので、
「まだ来ないんだね・・」
となぐさめあう。

一時間後、気のいいタクシーのおじさんが、やっと止まってくれた(神)!ここまでほぼ誰も止まってくれず、止まっても、あまりに人がたかるので、恐れをなして、タクシーが逃げ去ってしまっていた。
気のいいおじさんタクシーに、キューバ人たちと乗り込む。おじさん、私がカサデラムシカに行くというのを聞きつけ、
「7CUC(770円)で前まで行ってあげるよ。」
と言い出す。普通なら、1CUC(110円)で行けるところ(ただし少しテクニック必要)、7倍も払うかどうか・・。
私が黙っているので、私がスペイン語わからないと思った他のキューバ人が
「セブンCUCだよ。」
と英語で言ってくれた。わかってんの!!!キューバにいる間は、キューバの貨幣価値で生きてるので、7CUCが高く感じられるのだ。

でもタクシー待ち疲れたし、ライブも始まるギリギリだったので、お金で解決することにする。他のキューバ人は、10CUP(55円)しか払わないけど、私は外国人だから7CUCというわけ。キューバ人が降りたら、プライベートタクシーに早変わり。
カサデラムシカに着いた時は、もう着いた達成感で、ぐったりだった。ライブなんか、どうでもよくなっていた。

普段は、外国人なので、タクシーもかなりの確率でつかまえられる(お金を多く払ってくれるのがわかってるから)。でも今回の法律改正では外国人パワーが通じず、まったくタクシーがつかまらなかった。キューバ恐るべし・・。

その後もタクシー難民は続出して、夕方や夜、道端で多くのキューバ人がタクシーをつかまえられずにいた。
最悪なのは、それに便乗して、値段を高く言う運転手(タクシスタ)がいたこと。
私は幸いお金もあるし、最悪、黄色いタクシーに、もっとお金を出して乗ることができる。でも普通のキューバ人には、死活問題。遠いところに住んでる人は、どうしたんだろう?知り合いは、知らない人の自転車の後ろに乗せてもらったと言っていた(!)。

気のいいタクシーのおじさんに、なんでこんなにタクシーが街から消えたのか、事情を話してもらう。それを携帯で録音して、キューバ人に解説を頼んで、ようやくいろいろわかった。家にテレビもラジオもなかったので、なんにもわからなかったのだ。

キューバでは、急に法律が変わったりするように感じられる。先日も、法律が変わって、なぜか銀行口座からお金が引き出せないとか、そういう問題もあったりした(たまたまかもしれないけど)。社会主義の法律がどうやって決まってるかはわからない。けれどそれに合わせる国民は、本当に大変。