キューバでの卵の買い方~キューバの卵は配給制~
キューバの卵。黄身がすごく黄色い。
AIRBNBでハバナの家を借りた。
大家さんがやってきて、一通り、家の説明をしてくれた。そして次に彼女が話し始めたのは、
「どうやって卵を入手したらいいかしら?」
ということ。家の次の話題が卵って(笑)!
というのも、キューバでは卵は配給制なのだ。前回、卵を売っている場所で、
「卵ください。」と言ったら、
「配給手帳がないと売れないんだよ。」
と断られてしまった。そこはキューバ人用の卵配給所だったのだ。目の前に卵があるのに、売ってもらえない悲しさったらない。
「あそこの外にいるあの女性に聞いてみな。」
と店のおじさんが言うので、道端にいた女性に、
「卵売ってますか?」
と聞いてみた。
「あるよ。4個で1CUC(約110円)だよ。」
「高いねえ!日本で買うのと同じ値段なんだけど!」
と私が言うと、
「今日はあるけど、明日はあるかわからないよ。」
とおばさま。まあ強気。そうだ、それがキューバなんだった・・。
結局、卵4個をビニール袋に入れてもらい(パッケージはない)、割れないようにそ~っとタクシーに乗って持って帰った。人生でこんなに卵を苦労して手に入れ、大事に思ったこと、あったかな?!愛おしくて、頬ずりしでしまいそう。
道端で卵が売られているのは何回か見た。でも常温で置いてあるし(ここ南国だし)、いつ生まれた卵かわからないし、鮮度が気になる。この日、私がおばさまから買った卵は、ちゃんと家の中で保管されていたので、鮮度はマシかなと思うことにする。
「いつの卵なの?昨日?」
と聞いたけれど、そんなのわかるわけない。なんせ賞味期限もなんも書いてないからだ。
配給制だから、卵はスーパーに売ってない。
「今までで、一回だけスーパーで卵見たことあるなあ。」
と、前の家の大家さん(!)。
ある日、卵売りの人が歩いていた。
「ウエボ~」
と聴こえたら卵のこと。値段聞いたら、30個で4CUCだった。30個もいらんし!でも、もっと少なく交渉して買えば、買えたのかもと、あとで思う。今度やってみよう。
最後の週、大家さんが、
「なんとか卵5個だけ入手できたわ。」
と持ってきてくれた。ありがとう、大家さん!
でも驚きはここからだった。なんと配給の卵、1ヵ月一人5個しかないというじゃないの!1週間じゃないよ、1ヵ月だよ!
その他、配給の量を聞いたら、とてもじゃないけど、それだけでは食べてはいけない量だった。残りは全部、自腹で食料品を買わなくてはならない。そしてその値段が、日本並みに高いのだ。
キューバ人が、
「自分たちは、食べるために働いている。」
と言ってる意味が、ようやくわかった。
日本で稼いだお金で買うのはまだしも、平均月収2500円だと言われている国で、この物価はないんじゃないの?!と思う(実際には、人によって給料まちまちだったが、その話はまたあとで)。
キューバでは「は?」って思うことが山ほどある。ありすぎて書けないくらいある。社会主義だから、食べることには困らない、と思っていたけれど、実際は、食べ物が足りない。
おみやげのせんべいを一気食いしてしまうキューバ人に、
「なんでそんな全部一気に食べるの?」
と聞いたら、
「いつもおなかがすいているからだよ。君は空腹がどんなものか知らないだろう?」
と言われてしまった。食べ物が足りない。だから今食べちゃう。そうだったのね、ごめんなさい。どうりで、今までのキューバ人のお宅、全部冷蔵庫がすかすかだったわけだ。
大家さんがくれた卵は、もったいなすぎて、なかなか食べられなかった。
日本に帰ってきて、卵が思い切り好きなだけ買えることを、ありがたく思う。野菜も肉も種類がたくさんあって、宝の山みたい!
日本に生まれて、何不自由なく暮らせて、それがどんなに運がいいことなのかと、あらためて思ったのだった。