そのあなたの生き方がオリジナル。フリボラをつらぬこう!

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アンダルシアのこんなカフェで朝食を!

2017年、いつものように、陶芸の恩師を訪ねた。彼女は、私が最後に3年間通ったアンダルシアの陶芸科の先生で、陶芸家。スペイン在住40年以上の日本人で、シベリア鉄道で単身スペインに渡ったという、バイタリティあふれるエネルギッシュな方だ。私は今まで生きてきて会った中で、一番尊敬している。

「あなたが来るっていうから、明日の朝、ここに住んでる日本人と、朝ごはんの約束しといたわよ。」
と先生。先生と会う時は、だいたい先に予定が決まっている。
次の日、テラスのあるカフェで、先生と私、在住の日本人女性2人を合わせた4人で会うことになった。この街に住んでる日本人は数えるほどしかいないので、日本語を話すのはとても貴重な時間だ。

先生は、私のことを、
「この人は私の元陶芸の生徒でね、サルサ踊ったり、ウィーンの舞踏会行ったり、世界中で踊ってるのよ!」
と紹介してくれた。先生はいつもこんな感じで、人の印象に残るように話してくれる。
すると、一緒にお茶していた日本人女性の一人が、
「それ、書いて本にしたらいいのに。そんな人見たことないし、あったら読んでみたいわ。」
と言ったのだ。そうかしら?そんなにめずらしいかな?
そんなことを思いながら、その日はそのまま先生のお宅に帰った。

2日後、先生は晩ごはんの用意をしながら、唐突に言った。
「あなた、彼女が言うように、本当に書いてみたら?少なくとも、私のまわりにあなたみたいな人いないし、見たことない。書いたら私も読んでみたい。」
先生は、あれからずっと、私のことを考えていてくれたのだ!
「そうでしょうか?自分では普通のことだと思ってましたけど。」
「その生き方がオリジナルで、そこがあなたの個性だと思う。私はこれです!というものを、恐れずに表現しなさい。あなたが書くことで、そんな生き方をしてもいいんだ、という見本にもなる。それに書くことが、あなたのためにもなると思う。」
「そんなに考えてくださって、ありがとうございます。」
「生徒はみんなかわいいものよ。いつでも、どうしたらもっとよくなるか、考えるわよ。」
クイーン・オブ・先生の鏡!

「今まで人にたたかれるのが怖くて、海外を行ったり来たりして踊っていることを、ひた隠しにしてました。」
「あなた、人がどう思うかなんて、考えるのはバカげてるわよ!」
さすが、海外に住む日本人がまだ少なかった時代、単身シベリア鉄道で渡った人は違う。

「たとえば私の作品にしても、好きな人も嫌いな人、両方いるかもしれない。でも人がどう思おうと、どう言おうと、好きでも嫌いでも関係ないわよ。表現するとはそういうこと。なにかをする時、できるかできないかの違いは、やるかやらないかだけの違い。ただそれだけよ。」

勇気を持ってやりなさい。人生の先輩である先生の言葉、重みがあった。

「それにあなた、フリボラ(※自由なボールの意味。どこに転がるかわからない)でしょ?」
と、先生。
「アーティストは、フリボラから生まれるし、自由でなくてはいけない。だからあなたは、もっとフリボラの人生をつらぬくべきよ。」

ウソ~?!旅して踊っての暮らしを始めて10年以上。いつかこの生活をやめなきゃ、今年限りかと思っていたのに。まるで先生は、私の心を見透かしているみたいだった。

実は、そろそろ老後(?!)を見すえてもっと働かないと、と思ってたのだ。それに、先生から「踊りバカでフラフラした生き方してる人」だと思われてるんではないかと、ひそかに心配もしていた。
それがまさか「やめるな、突き進め!もっと極めろ!」とすすめてくれるなんて!

「踊るということは、あなたの中にプリミティブなものがあるということ。同じ体験をしても、あなたにはあなたの感じたことがあるはず。踊りのなにがいいのか、生き方や経験、旅を形にして、アートに昇華しなさい。」

アートに昇華?!

今まで、書くことがアートになるとは思っていなかった。
先生が私に望むようなものが書けるかわからない。でも、今までしてきたこと、見たもの、踊ったこと、旅の情報を含めて、とにかく書いてみようと思う。

私よりすごい体験をしている人、文章のうまい人なんて、世界中にたくさんいる。私なんか書く意味ない、必要ない、才能もない、と思うこともいっぱいあった。でも自分の感じたこと、体験はオリジナル。みんなもそうだと思う。
だから思ったことや、出来事をつづってみよう。勇気を出してやってみよう!

☆あなたの中のアーティストを見つけるのに、おすすめの本
「ずっとやりたかったことをやりなさい。」
スペイン留学の時も、この本を持っていきました。おすすめ!

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